愛してるなんて、噓でしょう?
46話.十二年間の理由
美月 side
待ち合わせ場所に着くと、蓮はすでに来ていた。
「美月」
「待たせてごめんね」
「俺も今来たところだよ」
蓮はいつものように微笑んだ。
けれど、今日はどこか緊張しているように見えた。
「話って?」
「ああ。少し歩こうか」
私たちは並んで歩き始めた。
街路樹の葉が風に揺れている。
しばらくして、蓮が口を開いた。
「十二年前のことを、父に聞いてきた」
「何か分かった?」
「君のお父さんは、東條会の内部で起きていた問題について、何かを知っていたらしい」
「それで、あの日にいなくなったの?」
「そうだ。君を守るために、姿を消した可能性がある」
私は俯いた。
お父さんは、私を守ろうとしてくれていた。
そのことが嬉しいような、悲しいような気持ちになる。
「お父さんは、今どこにいるんだろう」
「まだ分からない。父も探していたらしい」
「そっか……」
私は少しだけ考えてから、蓮を見た。
「蓮さんは?」
「俺?」
「私のこと。どうして、そんなに昔のことを覚えているの?」
蓮の足が止まった。
私は続ける。
「星のチャームも、写真も、全部大切に残してくれていたよね」
「ああ」
「私が忘れてしまっていたのに」
蓮は静かに私を見つめた。
「美月。話しておきたいことがある」
「うん」
「俺は、十二年間ずっと君を探していた」
時間が止まったような気がした。
「……十二年間?」
「ああ」
「ずっと?」
「ずっとだよ」
蓮は、少し困ったように笑った。
「君がいなくなったあと、俺は何度も君を探した。君の名前も、住んでいた場所も、分かる限り調べてもらった」
「どうして……」
「もう一度会いたかったから」
彼は私の手を取った。
「君は、俺が一人でいると隣に来てくれた。寂しくないかって聞いてくれた。何度も笑いかけてくれた」
胸の奥が熱くなる。
「俺は、あの頃の君に救われたんだ」
「蓮さん……」
「でも、君に会えない時間が長くなるほど、もう会えないんじゃないかと思うこともあった」
蓮は一度、視線を落とした。
「それでも、あの星を見るたびに思い出した。君が、また会いに来ると言ってくれたことを」
私は握られた手を見つめた。
「私、そんなに大切なことを忘れていたんだね」
「君が悪いわけじゃない」
「でも、蓮さんはずっと覚えていてくれた」
「忘れられなかったんだ」
蓮は優しく微笑んだ。
「ようやく見つけた君が、俺を覚えていなかったときは、正直少し寂しかった」
「……ごめんね」
「謝らないで」
蓮は私の手を包み込む。
「君が俺を忘れていても、俺は君に会えて嬉しかった。だから、今度は昔の約束じゃなくて、今の君に好きになってもらいたかった」
私は蓮を見つめた。
「それで、初めて会ったみたいに接してくれたの?」
「ああ。君が覚えていないなら、もう一度最初から始めようと思った」
あの日、雨の中で出会った蓮。
優しく笑いかけてくれた蓮。
そのすべてが、今になってつながっていく。
「蓮さん」
「ん?」
「探してくれて、ありがとう」
蓮の表情が少しだけ揺れた。
「会いたかったよ。ずっと、会いたかった」
その言葉を聞いた瞬間、私の目に涙が浮かんだ。
今まで知らなかった時間。
蓮が一人で抱えていた想い。
それを、ようやく知ることができた。
待ち合わせ場所に着くと、蓮はすでに来ていた。
「美月」
「待たせてごめんね」
「俺も今来たところだよ」
蓮はいつものように微笑んだ。
けれど、今日はどこか緊張しているように見えた。
「話って?」
「ああ。少し歩こうか」
私たちは並んで歩き始めた。
街路樹の葉が風に揺れている。
しばらくして、蓮が口を開いた。
「十二年前のことを、父に聞いてきた」
「何か分かった?」
「君のお父さんは、東條会の内部で起きていた問題について、何かを知っていたらしい」
「それで、あの日にいなくなったの?」
「そうだ。君を守るために、姿を消した可能性がある」
私は俯いた。
お父さんは、私を守ろうとしてくれていた。
そのことが嬉しいような、悲しいような気持ちになる。
「お父さんは、今どこにいるんだろう」
「まだ分からない。父も探していたらしい」
「そっか……」
私は少しだけ考えてから、蓮を見た。
「蓮さんは?」
「俺?」
「私のこと。どうして、そんなに昔のことを覚えているの?」
蓮の足が止まった。
私は続ける。
「星のチャームも、写真も、全部大切に残してくれていたよね」
「ああ」
「私が忘れてしまっていたのに」
蓮は静かに私を見つめた。
「美月。話しておきたいことがある」
「うん」
「俺は、十二年間ずっと君を探していた」
時間が止まったような気がした。
「……十二年間?」
「ああ」
「ずっと?」
「ずっとだよ」
蓮は、少し困ったように笑った。
「君がいなくなったあと、俺は何度も君を探した。君の名前も、住んでいた場所も、分かる限り調べてもらった」
「どうして……」
「もう一度会いたかったから」
彼は私の手を取った。
「君は、俺が一人でいると隣に来てくれた。寂しくないかって聞いてくれた。何度も笑いかけてくれた」
胸の奥が熱くなる。
「俺は、あの頃の君に救われたんだ」
「蓮さん……」
「でも、君に会えない時間が長くなるほど、もう会えないんじゃないかと思うこともあった」
蓮は一度、視線を落とした。
「それでも、あの星を見るたびに思い出した。君が、また会いに来ると言ってくれたことを」
私は握られた手を見つめた。
「私、そんなに大切なことを忘れていたんだね」
「君が悪いわけじゃない」
「でも、蓮さんはずっと覚えていてくれた」
「忘れられなかったんだ」
蓮は優しく微笑んだ。
「ようやく見つけた君が、俺を覚えていなかったときは、正直少し寂しかった」
「……ごめんね」
「謝らないで」
蓮は私の手を包み込む。
「君が俺を忘れていても、俺は君に会えて嬉しかった。だから、今度は昔の約束じゃなくて、今の君に好きになってもらいたかった」
私は蓮を見つめた。
「それで、初めて会ったみたいに接してくれたの?」
「ああ。君が覚えていないなら、もう一度最初から始めようと思った」
あの日、雨の中で出会った蓮。
優しく笑いかけてくれた蓮。
そのすべてが、今になってつながっていく。
「蓮さん」
「ん?」
「探してくれて、ありがとう」
蓮の表情が少しだけ揺れた。
「会いたかったよ。ずっと、会いたかった」
その言葉を聞いた瞬間、私の目に涙が浮かんだ。
今まで知らなかった時間。
蓮が一人で抱えていた想い。
それを、ようやく知ることができた。