愛してるなんて、噓でしょう?

47話.莉子が知っていること

美月 side
蓮から十二年間の話を聞いた翌日。


私は莉子さんに連絡をした。


どうしても、聞いておきたいことがあったから。


待ち合わせたカフェで、莉子さんは私を見るなり、少し驚いたような顔をした。

「美月さんから連絡をくれるなんて、珍しいわね」

「聞きたいことがあって」

「十二年前のこと?」

「はい」

莉子さんは静かに頷いた。

「何でも聞いて」

私は少し迷ってから、口を開いた。

「蓮さんが、私を十二年間探していたことを知りました」

「そう」

「莉子さんも知っていたんですか?」

「ええ。蓮があなたを探していたことは知っていたわ」

「どうして、そこまで……」

莉子さんは紅茶を置いた。

「蓮は、あの出来事のあと、ずっと後悔していたの」

「後悔?」

「あなたと別れることになったあの日、蓮は何もできなかった。子どもだったから、どうすることもできなかったのよ」

私は目を伏せた。

「それでも、ずっと探してくれていたんですね」

「ええ。でも、ひとつだけ勘違いしないでほしいことがあるわ」

莉子さんは私をまっすぐ見た。

「蓮があなたを探していたからといって、あなたが蓮を好きにならなければいけない理由にはならない」

「……はい」

「あなたが今、蓮のことを好きなのは、あなた自身の気持ちでしょう?」

私は頷いた。

「はい。昔のことを知らなかったときから、蓮さんのことが好きでした」

「なら、それでいいのよ」

莉子さんは少しだけ笑った。

「私は、蓮に幸せになってほしいと思っている。でも、それは私が決めることじゃない」

「莉子さん……」

「それに、私にも私の事情があるの」

莉子さんは窓の外へ目を向けた。

「一条家は、十二年前の出来事と無関係ではないわ」

「莉子さんの家も?」

「ええ。ただ、私が知っているのは一部だけ」

「何があったんですか?」

「詳しいことは、まだ話せない。私自身、確かめなければならないことがあるから」

その言葉に、私は頷いた。


莉子さんもまた、過去に縛られているのかもしれない。

「美月さん」

「はい」

「蓮のことをお願い、とは言わないわ」

莉子さんは静かに微笑んだ。

「あなた自身が幸せになって。それが一番大切よ」

私は深く頷いた。

「ありがとうございます」

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