愛してるなんて、噓でしょう?
49話.消えない約束
美月 side
休日。
私は蓮と一緒に、昔の屋敷があった場所を訪れていた。
今は建物もなく、きれいに整備された敷地になっている。
「ここが、昔の屋敷があった場所?」
「ああ」
蓮は静かに頷いた。
「俺たちが初めて会った場所だ」
私は周囲を見渡した。
記憶の中の景色とは違う。
でも、なぜか懐かしい気持ちになる。
「ここで、私が蓮さんに話しかけたんだよね」
「ああ」
「どんなふうに?」
蓮は少し考えてから、笑った。
「お兄ちゃん、ひとりなの?って」
「……私、そんなこと言ったんだ」
「言ったよ」
「恥ずかしい」
「俺は嬉しかった」
蓮は昔を思い出すように、目を細めた。
「誰もいないと思っていたところに、君が来てくれたから」
私は彼の手を握った。
「それから、何度も会ったんだよね」
「ああ。君はよくここに来てくれた」
「私、何をしていたの?」
「本を読んだり、庭を歩いたり。君は何でも楽しそうにしていた」
「今と変わらないね」
「そうだな」
二人で笑う。
そのとき、記憶の中に別の言葉が浮かんだ。
『また明日も来るね』
幼い私の声。
そして、男の子の声。
『本当に?』
『うん。約束!』
胸が温かくなる。
「蓮さん」
「ん?」
「私、思い出したよ」
「何を?」
「また明日も来るって、約束したこと」
蓮は驚いたように私を見た。
「……覚えていたんだな」
「うん。全部じゃないけど」
「それだけでも嬉しいよ」
私は少し考えてから、尋ねた。
「それで、最後の日は?」
蓮の表情がわずかに変わった。
「最後の日?」
「私たちが会えなくなる前の日。何かあった?」
蓮は静かに頷いた。
「あの日、君はいつもと違った」
「どうして?」
「少し寂しそうだった。お父さんと一緒に、遠くへ行くかもしれないと言っていた」
「私が?」
「ああ」
その言葉に、胸がざわついた。
「それで、私たちは……」
「俺は、君にまた会おうと言った」
蓮は私を見つめた。
「絶対に見つける。だから待っていて、と」
その瞬間、頭の中に幼い蓮の姿が浮かんだ。
寂しそうな顔。
それでも、私を安心させようと笑っていた。
私はそっと目を閉じた。
「……思い出した」
「美月?」
「私、蓮さんに言ったんだね。絶対にまた会おうって」
「ああ」
「忘れていて、ごめんね」
蓮は首を横に振った。
「謝らなくていい」
「でも、今度は忘れないよ」
私は彼の手を握った。
「昔の約束も、今の約束も」
蓮は少しだけ目を伏せた。
そして、私の手を優しく握り返した。
「ありがとう、美月」
休日。
私は蓮と一緒に、昔の屋敷があった場所を訪れていた。
今は建物もなく、きれいに整備された敷地になっている。
「ここが、昔の屋敷があった場所?」
「ああ」
蓮は静かに頷いた。
「俺たちが初めて会った場所だ」
私は周囲を見渡した。
記憶の中の景色とは違う。
でも、なぜか懐かしい気持ちになる。
「ここで、私が蓮さんに話しかけたんだよね」
「ああ」
「どんなふうに?」
蓮は少し考えてから、笑った。
「お兄ちゃん、ひとりなの?って」
「……私、そんなこと言ったんだ」
「言ったよ」
「恥ずかしい」
「俺は嬉しかった」
蓮は昔を思い出すように、目を細めた。
「誰もいないと思っていたところに、君が来てくれたから」
私は彼の手を握った。
「それから、何度も会ったんだよね」
「ああ。君はよくここに来てくれた」
「私、何をしていたの?」
「本を読んだり、庭を歩いたり。君は何でも楽しそうにしていた」
「今と変わらないね」
「そうだな」
二人で笑う。
そのとき、記憶の中に別の言葉が浮かんだ。
『また明日も来るね』
幼い私の声。
そして、男の子の声。
『本当に?』
『うん。約束!』
胸が温かくなる。
「蓮さん」
「ん?」
「私、思い出したよ」
「何を?」
「また明日も来るって、約束したこと」
蓮は驚いたように私を見た。
「……覚えていたんだな」
「うん。全部じゃないけど」
「それだけでも嬉しいよ」
私は少し考えてから、尋ねた。
「それで、最後の日は?」
蓮の表情がわずかに変わった。
「最後の日?」
「私たちが会えなくなる前の日。何かあった?」
蓮は静かに頷いた。
「あの日、君はいつもと違った」
「どうして?」
「少し寂しそうだった。お父さんと一緒に、遠くへ行くかもしれないと言っていた」
「私が?」
「ああ」
その言葉に、胸がざわついた。
「それで、私たちは……」
「俺は、君にまた会おうと言った」
蓮は私を見つめた。
「絶対に見つける。だから待っていて、と」
その瞬間、頭の中に幼い蓮の姿が浮かんだ。
寂しそうな顔。
それでも、私を安心させようと笑っていた。
私はそっと目を閉じた。
「……思い出した」
「美月?」
「私、蓮さんに言ったんだね。絶対にまた会おうって」
「ああ」
「忘れていて、ごめんね」
蓮は首を横に振った。
「謝らなくていい」
「でも、今度は忘れないよ」
私は彼の手を握った。
「昔の約束も、今の約束も」
蓮は少しだけ目を伏せた。
そして、私の手を優しく握り返した。
「ありがとう、美月」