愛してるなんて、噓でしょう?
蓮 side
ここに来ると、あの日のことを思い出す。


美月が遠くへ行くと知ったとき。


俺は何もできなかった。


ただ、また会おうと言うことしかできなかった。


十二年間、その言葉だけを信じてきた。


でも、今は違う。


彼女は自分の意思で、俺の隣にいる。

「美月」

「なに?」

「今度は、俺からも約束したい」

「どんな約束?」

「これから先、何があっても、君と向き合うこと」

美月は小さく笑った。

「うん。私も約束する」

過去の約束は、俺たちを再び結びつけた。


でも、これからの未来を決めるのは、俺たち自身だ。


――十二年前に交わした約束。


それは、今の二人を縛るものではない。


もう一度、手をつなぐための小さなきっかけだった。

< 164 / 179 >

この作品をシェア

pagetop