愛してるなんて、噓でしょう?

50話.星灯りの夜

美月 side
その夜、蓮の部屋で一緒に過ごしていた。


窓の外には、静かな夜景が広がっている。


私は机の上に置かれた星のチャームを見つめた。

「蓮さん」

「ん?」

「星灯りの夜って、何があったの?」

蓮はすぐには答えなかった。


少し考えるように視線を落とし、やがて口を開く。

「十二年前、東條会の中で大きな問題が起きた」

「うん」

「君のお父さんは、その問題に関係する情報を持っていた。だから、君を連れて遠くへ行こうとしていたんだと思う」

「それで、あの日……」

「ああ。屋敷の中で騒ぎが起きた」

蓮はゆっくりと話した。

「俺は君と別れたくなかった。でも、当時の俺には何もできなかった」

「蓮さんのせいじゃないよ」

「分かっている。それでも、何もできなかったことは今も覚えている」

私は蓮の手に触れた。

「そのあと、私はどうなったの?」

「君のお父さんと一緒に、屋敷を離れた。その後、俺は君の行方を追ったけれど、手掛かりはほとんどなかった」

「お父さんは、私を守ってくれていたんだね」

「そうだと思う」

「蓮さんのお父さんは?」

「父も、あの日のことをすべて話してはいない」

蓮の声に、わずかな硬さが混ざった。

「まだ隠していることがあると思う」

「莉子さんの家も関係しているんだよね」

「ああ」

私は星のチャームを手に取った。


小さな星。


昔、私が蓮に渡したもの。

「私、これを渡したときのことを思い出したよ」

蓮が私を見る。

「本当に?」

「うん。蓮さんが寂しそうだったから、これを見て元気になってほしかったんだと思う」

「そうだな」

「でも、蓮さんはずっと大切にしてくれていたんだね」

「ああ。俺にとって、何より大切なものだった」

私はチャームをそっと元の場所に戻した。

「ありがとう」

「どうして?」

「十二年間、私のことを忘れずにいてくれて」

蓮は首を横に振った。

「俺が忘れたくなかっただけだよ」

私は彼の隣に座り直した。

「これからは、二人で思い出を作っていこうね」

蓮は私の手を握った。

「そうだな」

「昔のことも大切だけど、今のことも大切にしたい」

「俺も同じだよ」

そのとき、蓮のスマートフォンが鳴った。


画面には、悠真の名前が表示されていた。


蓮が電話に出る。

「どうした」

『蓮、少し気になる情報が出てきた』

「何だ」

『十二年前の件だ。一条家の方で、何か動きがあったらしい』

蓮の表情が変わる。

「分かった。明日確認する」

電話を切った蓮は、しばらく画面を見つめていた。

「何かあったの?」

「少し確認したいことがあるだけだ」

「十二年前のこと?」

「ああ」

私は彼の手を握った。

「一緒に考えようね」

蓮は私を見て、静かに頷いた。

「ああ」

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