愛してるなんて、噓でしょう?
午後三時。


カフェの扉についたベルが鳴った。

「いらっしゃいませ」

顔を上げた瞬間、思わず目を見開く。

「……蓮さん?」

「こんにちは、美月ちゃん」

そこに立っていたのは、見慣れた優しい笑顔の男性だった。


黒いコートに、整った髪。


いつもと変わらない姿なのに、今日はなんだか違って見える。

「来てくれたんですね」

「うん。昨日、また会いたいって言ってくれたから」

「っ……!」

そんなこと、覚えているに決まっているのに。

わざわざ口にされると、恥ずかしくなってしまう。

「それは……そうですけど」

「嬉しかったよ」

蓮さんは柔らかく笑った。

「今日もホットコーヒーでいいですか?」

「うん。あと、苺のタルトも」

「ふふ。好きですね、苺」

「美月ちゃんが好きだって言ってたからね」

「え?」

「前に教えてくれたでしょう?」

そうだった。


確か、初めて会った頃に好きな食べ物を聞かれた気がする。


たったそれだけの会話を覚えていてくれたことが、なんだか嬉しかった。

「……覚えててくれたんですね」

「美月ちゃんのことだからね」

さらりと言われた言葉に、胸が跳ねる。


私は慌てて厨房へ向かった。

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