愛してるなんて、噓でしょう?
車でしばらく走ると、落ち着いた雰囲気の建物に到着した。

「ここは?」

「東條会が関係している施設の一つだよ。今日はその中にある部屋で話をするんだ」

建物の中に入ると、何人かの男性が蓮さんに頭を下げた。

「若頭、お疲れさまです」

「お疲れ」

蓮さんは穏やかに返事をする。


その姿を見て、私は改めて思った。


この人は、本当に東條会の若頭なんだ。


普段の優しい笑顔だけではない。


彼には、彼の立場がある。


私がそんなことを考えていると、蓮さんがこちらを振り返った。

「美月ちゃん、大丈夫?」

「はい」

「何かあったら、すぐに言ってね」

「ありがとうございます」

蓮さんは安心したように笑い、部屋の扉を開けた。


そこには、一人の男性が座っていた。


黒髪で、少し鋭い目つき。


腕を組みながら、こちらを見ている。

「遅かったな、蓮」

「悪い。待たせた」

「別に。いつものことだろ」

男性はそう言ってから、私に視線を向けた。

「……で、その子が?」

「そう。水瀬美月ちゃん」

蓮さんが私の名前を紹介する。

「美月ちゃん、こいつが神崎悠真。俺の幼なじみで、東條会の幹部だよ」

「初めまして。水瀬美月です」

私が頭を下げると、悠真さんは少しだけ目を細めた。

「神崎悠真。よろしく」

「よろしくお願いします」

「そんなに緊張しなくていい。別に取って食ったりしねえよ」

「悠真、初対面でその言い方はないだろ」

蓮さんが呆れたように言う。

「事実だろ」

二人のやり取りを見て、私は思わず小さく笑ってしまった。


なんだか、普段の蓮さんとは違う。


少しだけ子どもっぽく見える。

「何?」

悠真さんに聞かれ、私は慌てて首を振った。

「いえ、仲がいいんだなと思って」

「まあ、腐れ縁だからな」

「余計なこと言うなよ」

二人の会話に、また笑みがこぼれた。

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