愛してるなんて、噓でしょう?
美月 side

帰り道。


蓮さんが車で駅まで送ってくれた。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。悠真と話してくれてありがとう」

「とても面白い方でした」

「そう?」

「はい。蓮さんと仲がいいのも分かりました」

蓮さんは少し笑った。

「長い付き合いだからね」

「いいですね。そういう友達がいるの」

「美月ちゃんにもいるでしょう?」

「いますけど……」

私は少し考えてから、蓮さんを見た。

「蓮さんにも、私の知らない時間がたくさんあるんですね」

その言葉に、蓮さんの表情がほんの一瞬だけ変わった。


けれど、すぐにいつもの笑顔に戻る。

「そうだね。でも、これから少しずつ知っていってくれたら嬉しい」

「……はい」

私は小さく頷いた。


まだ知らないことばかり。


それでも、知りたいと思う。


蓮さんの過去も。


蓮さんの好きなものも。


蓮さんが、どんなふうに生きてきたのかも。

「美月ちゃん」

「はい?」

「また会おうね」

「もちろんです」

車を降りる前、蓮さんは優しく笑った。


その笑顔を見ていると、もっと一緒にいたいと思ってしまう。


私はその気持ちを、まだ言葉にはできなかった。


――彼の隣には、長い時間を共に過ごしてきた人がいる。


そして私は、まだ知らない。


彼が誰にも見せてこなかった十二年間のことを。

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