学校一のおバカ男子は、IQ200の意地悪でした。
机に頬を押し付けたまま、眠たげに目を細めていた如月くんが、ほんの一瞬だけ、本当にクラスの誰も気づかない一瞬の隙を突いて、私の方を見た。



ガラス細工のように冷たく、そして極上にいじわるに瞳が細められる。


彼の薄い唇が、声を出さずに、確かに私の名前を動かした。



『――つ・む・ぎ』
「っ……!」



私は息を呑み、思わずその場に立ちすくんでしまった。
全身の血が、一気に顔へと駆け上がっていくのが分かる。


夢なんかじゃない。幻覚なんかじゃない。


クラス中が彼を「おバカ男子」と笑うなかで、私だけが、彼の本当の姿を知っている。



そして彼だけが、私の本当の涙を知っている。
< 36 / 112 >

この作品をシェア

pagetop