崖っぷち魔術師は嘘をつく~一夜の過ちを犯した相手には、好きな人がいました~
「……左様でございましたか。これまでの度重なる無礼をお詫びいたします、王子殿下」
「違う! 僕はミランダに謝ってほしいわけじゃないんだ!」
震えそうになりながらも謝罪したミランダに、椅子から立ち上がったシリルが声を上げる。
「僕は……君にたくさん言いたいことがある。僕は、君のおかげで帝国で穏やかな日々を送れた。君と一緒に話をして、魔術について教えてもらって、遊んで……その日々が、本当に楽しかったんだ」
「殿下……」
「ありがとう、ミランダ。僕は、君と一緒にいられて本当に幸せだったよ」
そう言ってシリルは泣き笑いのような笑みを浮かべ――そこで授業部屋のドアがノックされ、廊下から男性の声がした。
「殿下、王国からの使者が来ております」
「……わかったよ」
「殿下……」
思わず呼びかけたミランダに、こちらを振り返り見たシリルが微笑んだ。
「僕は、国に帰る。でも、君のことは絶対に忘れないし……そうだな。いつかリドベキア王国に招待するって言ったよね?」
シリルに問われて、ミランダはうなずく。
確かに二年ほど前に、シリルが「いつかうちに招待するよ。僕の生まれ故郷を、ミランダに見せたい」と言っていたことがある。
帝国から出たことのないミランダは、その申し出を嬉しく受け入れつつも……彼が帰国したらいずれ、この約束も忘れられるだろうと思っていたのに。
(ちゃんと、覚えていてくださった……)
「……はい。あなたの故郷を、見せてくれますか?」
「うん、必ず。今の王国は、もう安全な場所だ。帝国に負けず劣らず美しいリドベキアを……見てほしい。必ず、君を迎えに来るから」
「……ありがとうございます、殿下」
「ミランダ。一度でいいから、僕のことを名前で呼んで」
ドアの向こうから「早くおいでください!」とせっつかれつつシリルが言うので、ミランダは微笑んだ。
「……はい。シリル様」
「違う! 僕はミランダに謝ってほしいわけじゃないんだ!」
震えそうになりながらも謝罪したミランダに、椅子から立ち上がったシリルが声を上げる。
「僕は……君にたくさん言いたいことがある。僕は、君のおかげで帝国で穏やかな日々を送れた。君と一緒に話をして、魔術について教えてもらって、遊んで……その日々が、本当に楽しかったんだ」
「殿下……」
「ありがとう、ミランダ。僕は、君と一緒にいられて本当に幸せだったよ」
そう言ってシリルは泣き笑いのような笑みを浮かべ――そこで授業部屋のドアがノックされ、廊下から男性の声がした。
「殿下、王国からの使者が来ております」
「……わかったよ」
「殿下……」
思わず呼びかけたミランダに、こちらを振り返り見たシリルが微笑んだ。
「僕は、国に帰る。でも、君のことは絶対に忘れないし……そうだな。いつかリドベキア王国に招待するって言ったよね?」
シリルに問われて、ミランダはうなずく。
確かに二年ほど前に、シリルが「いつかうちに招待するよ。僕の生まれ故郷を、ミランダに見せたい」と言っていたことがある。
帝国から出たことのないミランダは、その申し出を嬉しく受け入れつつも……彼が帰国したらいずれ、この約束も忘れられるだろうと思っていたのに。
(ちゃんと、覚えていてくださった……)
「……はい。あなたの故郷を、見せてくれますか?」
「うん、必ず。今の王国は、もう安全な場所だ。帝国に負けず劣らず美しいリドベキアを……見てほしい。必ず、君を迎えに来るから」
「……ありがとうございます、殿下」
「ミランダ。一度でいいから、僕のことを名前で呼んで」
ドアの向こうから「早くおいでください!」とせっつかれつつシリルが言うので、ミランダは微笑んだ。
「……はい。シリル様」