崖っぷち魔術師は嘘をつく~一夜の過ちを犯した相手には、好きな人がいました~
ミランダが問うたところで、シリルは足を止めた。二人の視線の先にあるのは――教会に続くドア。
「お祈りですか?」
「ううん。ここでもう一度、セドリック……それからできれば君の『祝福印』を調べたいんだ」
シリルがそう言うので、そういえば、とミランダは出産のときのことを思い出す。
「そういうのも全部、シリル様にお願いしてしまったのですよね」
「うん。といっても、今回は別の意味があって……」
シリルはそう言ってから、セドリックをミランダに渡してからドアを開けた。
アルベック城には小さな教会があり、そこまで信心深くないミランダもたまにお祈りに来ていた。教会を管理するのは小柄な老神官で、血液による魔力量や『祝福印』の測定も彼が担当してくれる。
机の拭き掃除をしていた老神官はミランダたちを見て、嬉しそうに目を緩めた。
「なんと、これは……。お三方がいらっしゃるなんて、なんとも嬉しいことです」
「久しいな、神官殿。……すまないがセドリックとミランダの『祝福印』測定を頼みたい」
シリルがそう言うと、老神官は目を見開いた。
「なんと。では、殿下。あのことを……」
「ああ」
「……なんのことですか?」
「後で話すよ」
老神官とシリルの間でなにやら不思議なやりとりがあったので尋ねるがシリルは優しく言い、老神官がガラガラと押して持ってきてくれた測定器の前に立った。
測定器はいろいろな形があるが、たいていは血液を垂らす黒い版と、魔力量や『祝福印』の形を表す水晶玉のようなものがくっついた形をしている。
「ではまずは、ミランダから」
「はい」
シリルに促されたので、セドリックを彼に渡したミランダは自分の左手人差し指の第一関節をぐっと親指で押さえてから、老神官が差し出した針の先で指を突いた。そしてプツッと噴き出した血液を、黒い板に擦り付ける。
この板が血液に含まれる魔力量と『祝福印』の形を読み取り、水晶玉に映してくれる。
しばらくして水晶玉がまぶしい光を放ち、そして表面にぼんやりと、氷の結晶のような紋章を浮かび上がらせた。
光の強さは魔力量を示し、紋章が『祝福印』にあたる。『祝福印』は昔は判読が難しかったそうだが、水晶玉に浮かび上がる形が炎っぽいから【炎】、氷の結晶のようだから【氷】、のように定義づけたそうだ。
ミランダは誕生時だけでなく、魔道学院入学時や帝国魔術師団入団時にも同じ測定をしている。いつもと変わらない魔力量と【氷】の形を見て、ほっとした。
「お祈りですか?」
「ううん。ここでもう一度、セドリック……それからできれば君の『祝福印』を調べたいんだ」
シリルがそう言うので、そういえば、とミランダは出産のときのことを思い出す。
「そういうのも全部、シリル様にお願いしてしまったのですよね」
「うん。といっても、今回は別の意味があって……」
シリルはそう言ってから、セドリックをミランダに渡してからドアを開けた。
アルベック城には小さな教会があり、そこまで信心深くないミランダもたまにお祈りに来ていた。教会を管理するのは小柄な老神官で、血液による魔力量や『祝福印』の測定も彼が担当してくれる。
机の拭き掃除をしていた老神官はミランダたちを見て、嬉しそうに目を緩めた。
「なんと、これは……。お三方がいらっしゃるなんて、なんとも嬉しいことです」
「久しいな、神官殿。……すまないがセドリックとミランダの『祝福印』測定を頼みたい」
シリルがそう言うと、老神官は目を見開いた。
「なんと。では、殿下。あのことを……」
「ああ」
「……なんのことですか?」
「後で話すよ」
老神官とシリルの間でなにやら不思議なやりとりがあったので尋ねるがシリルは優しく言い、老神官がガラガラと押して持ってきてくれた測定器の前に立った。
測定器はいろいろな形があるが、たいていは血液を垂らす黒い版と、魔力量や『祝福印』の形を表す水晶玉のようなものがくっついた形をしている。
「ではまずは、ミランダから」
「はい」
シリルに促されたので、セドリックを彼に渡したミランダは自分の左手人差し指の第一関節をぐっと親指で押さえてから、老神官が差し出した針の先で指を突いた。そしてプツッと噴き出した血液を、黒い板に擦り付ける。
この板が血液に含まれる魔力量と『祝福印』の形を読み取り、水晶玉に映してくれる。
しばらくして水晶玉がまぶしい光を放ち、そして表面にぼんやりと、氷の結晶のような紋章を浮かび上がらせた。
光の強さは魔力量を示し、紋章が『祝福印』にあたる。『祝福印』は昔は判読が難しかったそうだが、水晶玉に浮かび上がる形が炎っぽいから【炎】、氷の結晶のようだから【氷】、のように定義づけたそうだ。
ミランダは誕生時だけでなく、魔道学院入学時や帝国魔術師団入団時にも同じ測定をしている。いつもと変わらない魔力量と【氷】の形を見て、ほっとした。