ほな、温泉行こか?
山道を抜けると、立派な門構えの建物が見えてきた。

「泉さん、着きましたよ!」

悠は得意げに車を駐車場へ滑り込ませた。

「……なぁ、悠」

「はい?」

「ここ、スパなん?旅館ちゃうん?」

「そうですよ! 温泉旅館です!」

泉は目の前の建物をまじまじと見つめた。

「……スーパー銭湯は?」

「……はい?」

「ウチ、スーパー銭湯に行くんやと思っとったんやけど」

「ええええっ!?」

悠の声が駐車場に響き渡った。

(ちょ、ちょっと待ってぇな!)

(スーパー銭湯!? 日帰りの!?)

「泉さん、俺、一泊のつもりで……」

「一泊!?聞いてへんで!?」

二人はしばらく顔を見合わせた。

(うそやろ……ここまで来て!?)

悠の頭から、湯けむりが一瞬で消え去った。

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