ほな、温泉行こか?
「ちょっと待ってぇな、悠!」

泉は腕を組んで、旅館を見上げた。

「ウチ、泊まるなんて一言も言うてへんで?」

「す、すみません! てっきり……」

「てっきり、なんやの?」

「い、いや、その……」

(混浴したいんやと思うた、なんて言えるかぁ!)

悠は額に浮かんだ汗を拭った。

「ほな、キャンセルしましょ!」

「えっ?」

「俺の勘違いですし、キャンセル料も俺が払います!」

悠は慌ててスマートフォンを取り出した。

「ちょい待ちぃ」

泉がその手を止めた。

「今日キャンセルしたら、お金戻ってくるん?」

「た、多分、全額かかるかと……」

「はぁ!? 勿体ないやん!」

泉は呆れたようにため息をついた。

「せっかく来たんやし、泊まっていこか?」

「……えっ!?」

(い、今、泊まるって言うた!?)

< 18 / 39 >

この作品をシェア

pagetop