ほな、温泉行こか?
「それでは、ごゆっくりお過ごしくださいませ」

仲居は丁寧に頭を下げ、部屋を出ていった。 襖が閉まった途端、泉の表情が曇った。

「……なぁ、悠」

「はい?」

「ウチな、部屋の露天風呂嫌いやねん」

「……えっ?」

悠の笑顔が固まった。

「な、なんでですか!?」

「だって、狭いやん」

「は、はぁ……」

「ウチはな、広いお風呂で手足伸ばして入りたいねん!」

(うそやろ!? 露天風呂付きの部屋、奮発したんやで!?)

「それに、何回も同じ景色見てもつまらんやろ?」

「そ、そうですか……」

「ここ、大浴場あるん?」

「あ、ありますけど……」

「ほな、ウチそっち行ってくるわ!」

泉は嬉しそうに立ち上がった。

(俺の貸切露天風呂計画がぁぁぁ!!)

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