ほな、温泉行こか?
帰りの車内。

泉は助手席で、満足そうに鼻歌を歌っていた。

「いやぁ、楽しかったなぁ!」

「そ、そうですね……」

(泉さんは楽しかったんやろなぁ……)

(俺は借金までして、何しに行ったんや……)

「悠、また温泉行こな!」

「えっ!? またですか?」

「なんや、嫌なん?」

「い、いえ! ぜひ!」

(次こそは絶対に……!)

そのとき、泉のお腹がグゥッと鳴った。

「あっ、お腹すいたわ」

「朝ご飯、食べたばっかりですよ?」

「もう昼過ぎやん。おでん食べたいなぁ」

「ほな、いつもの店寄りましょか?」

「ええなぁ! 大将の顔も見たいし!」

(……待てよ)

(俺、財布の中、ほとんど空っぽやん!)

悠はハンドルを握り直した。

(まあ、おでんくらいなら何とかなるやろ……)

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