クールな華道家は幼馴染に、百花繚乱の愛を告白する。
馨先生による、子供生花教室は大変楽しかった。
馨先生による無料レッスンということもあり、連日大盛況。

しかし、そこはちゃっかりしてる馨先生。
浅見さんに取材許可を出して、取材費を貰う契約を取り付けていたようで、手腕の良さも見せていた。

そんな中、なんと私は馨先生から講師役に抜擢されて、馨先生と一緒に子供を指導した。

私は華道の資格は持ってないが、フラワーアレンジメントの資格を持っている。
子供に教えることはもちろん、一緒について来たお母さんのフラワーアレンジメントの相談に乗ったりと『教える』楽しさというのを実感出来た。
一本の花でも喜んで貰える。
お花と一緒に笑顔で帰る親子たち。
それはとても充実した時間だった。

私は必死に家の家業を潰さないように、新しいことをしなくては、もっと経験を積まないといけないと焦っていた。
でも、そんなのは仕事を頑張っている人には当たり前のことで、どうして必死になるのか。
そんなに必死にならなくても、違う仕事だって選べる。別の仕事をしてもいい。
何故、花屋に拘るのか──という自身の問いかけにもなり。

出た答えはお花が好きだから。
そのお花をもっと、皆に知って欲しいからだと、馨先生にそんな気付きがあった伝えると「僕も同じ気持ちや」と、互いに笑いあった。
そして、子供生花教室は大成功のうちに終わり、その後馨先生は粛々とコンクールの用意を進めた。

それは割り振られた会場のブースをアトリエで再現して、何度も花を活ける日々。
私やその他のスタッフは当時の搬入経路や必要な花材、花器、水回りの確認など念入りに行った。

裏方としてだが、著名なコンクールに少しでも関われることはとても充実していて、時間はあっという間に過ぎて──コンクール一週間前となった。

私は約束通り、橘兄弟二人のアシスタントを離れた。

どちらとも最後まで手伝いたいと言う思いはあったが、私が橘兄弟のどちらかを、受け入れる場面が迫っているということもある。

そんな気持ちがどうやっても揺らぐ中で、アシスタントをしたらミスをし兼ねない。
だから、橘兄弟はそこまで見越して私を現場から離したのだろう。
ちょっぴり残念な気持ちもあったが、私は一週間、じっくりと自分の気持ちや将来に向き合ったのだった。
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