ただ今の先に、何度でも恋に落ちる2人がいる。
ベッドに横になると、純が顔を覗き込んでくる。

「もっとちゃんと見せよ」

「やだ」

「どうして?」

「今はだめ」

「今は?」

「そう。今は」

純は、私の返事を聞いて少し笑った。

「凛は、世界でいちばん大切で、いちばん可愛い女の子だよ」

「……またそういうこと言う」

「本当だから」

「毎回言うよね」

私は頬を赤くして、照れくさそうに笑った。

「毎回、本当のことだから」

「うん。知ってる」

そう答えて、私は純の顔を見つめた。

純がそう思ってくれていることを、私は知っている。

何度聞いても、やっぱり嬉しい。

「耳、赤いよ」

「見なくていいの」

「見たいんだけど」

「もう……」

純の手が、私の頬に触れた。

私はその手に自分の手を重ねる。

指先を包むように握ると、純が少しだけ目を細めた。

そのまま顔を近づける。

そして二人はキスをした。

いつもより長く、深いキスだった。

純の手が私のTシャツに触れ、そっとたくし上げる。

私はその手を受け入れた。

二人だけの、いつもの親密な時間。

私は純の様子を見つめながら、少しだけ笑った。

「……あげるけど、10分だけだからね」

純が顔を上げる。

私はその目を見つめた。

「凛から目を離さないで。こっちをじっと見てて」

純の視線が、私に戻る。

私は、私に触れる手や唇、その表情が愛しくてじっと彼の目を見つめていた。

10分だけ。

そう決めたのは私なのに、時間が過ぎていくのが惜しかった。

本当は、まだ離れたくなかった。

時間は過ぎていく事を惜しむ欲張りな気持ち。

『はい、もうお終い!』

「……もう終わり?」

純が少し名残惜しそうに聞く。

「朝はここまで」

私はそう言ってから、少しだけ意地悪く笑った。

「今日、早く帰ってきてくれたら、続きさせてあげるね」

そして、純のおでこにデコピンをした。

「痛っ」

「ふふっ」

純が笑う。

私も笑った。

こういうところは、きっと昔から変わっていない。

好きな人には甘えたいし、甘やかしたい。

ふざけて困らせることもあれば、困らされることもある。

ただ、今はもう、言葉を選びすぎなくてもいい。

相手の気持ちを確かめるために、遠回りをしなくてもいい。

遠慮がなくなったわけではない。

思いやりがいらなくなったわけでもない。

親密なのに、雑じゃない。

遠慮がないのに、思いやりがなくならない。

二人で過ごしてきた時間が、そんな関係を少しずつ作ってくれた。

純が私の手をしっかりと握る。

私も握り返した。

恋人繋ぎ。
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