孤独なあなたに、夕食を。 〜食べられないCEOの胃袋を掴んだら本気の口説きが始まりました〜

①シルバーチャリティの最悪な夜

アメリカ、ニューヨーク州ロングアイランド北岸の大豪邸。

そこで開かれているチャリティパーティーに朝霧由香は参加していた。

ここに居るのは主に芸術家の支援を希望する富裕層の人間や、主催者である資産家ギルフォード家に縁のある有名人。

そんなラグジュアリーな空間に、由香は仕事として訪れている。

由香の仕事は、フィギュアスケート選手である富岡真奈の栄養管理兼、現地での語学サポートだ。

元々、日本の大手食品会社に勤務していたのだが、そこの社長夫婦に能力を買われ、彼らが溺愛する娘の真奈のサポート業務を依頼された。

真奈にとっては初めての渡米。
活動拠点をニューヨークに移すにあたり、由香は彼女の生活基盤を支えている。

日本を出て、七ヶ月。
順調だと思っていた。

真奈の二十一歳の誕生日だって、ひと月前に二人で祝ったばかり。

しかし今日、真奈の口から耳を疑うような発言が飛び出した。

「私、彼と同棲しようと思って。だからサポートの契約は終わりにして、由香さんから卒業しようと思うんだ」

「卒業……?」

真奈はヘーゼルブラウンの短髪が爽やかな男の腕に絡みながら喜々としている。

その人物は真奈と同じスケートリンクで練習している有名フィギュアスケート選手。
今、開催されているチャリティーパーティーも招待を受けたのは彼の方で、由香達は同伴者という立場で参加していた。

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