孤独なあなたに、夕食を。 〜食べられないCEOの胃袋を掴んだら本気の口説きが始まりました〜
パーティーに呼ばれたあたりから嫌な予感はしていた。
しかし由香はアメリカに渡ってから彼女と同じアパートメントの下の階で暮らし、生活の殆どを共にしていたので、まさかと思う気持ちもあった。

なぜなら彼と真奈が話している姿は度々見かけてたものの、それはスケート場でのみ。

英語が苦手な真奈を彼は気遣ってくれており、由香はてっきりいい友人、もしくはメンターに恵まれたと思っていた。

しかし、二人の関係は短い期間の中でそれ以上になっていたらしい。

落ち着かない雰囲気のなか、とんでもない報告と共に、サポート契約の終了まで言い渡された。

「……えっと、それってご両親は知ってるの?」

まったく口をつけていないシャンパングラスを握る指先に力が入る。

「あぁ、気にしないで!私から言うから大丈夫」

「大丈夫って……」

戸惑い気味に尋ねると至極明るく言われ、喉の奥が硬くなる。

そもそも由香を専属契約で雇っているのは真奈の両親である社長夫妻だ。
三年間契約で、今はまだ一年と経っていない。

「由香さんのサポートも悪くはないんだけど、彼が専任栄養士が居るっていうし。助けてくれるから。それだとほら被る?っていうか、由香さんの仕事無くなっちゃうでしょ?」

真奈は悪びれた様子なく平然と言った。

初めて顔を合わせた当初から彼女は楽天的で自由奔放な気質があったが、今回もあまり深く考えていないのかもしれない。

そもそも同棲するなど、先々の計画が二人にちゃんとあるのだろうか。

「同棲って、分かってる?こっちの生活にもまだ慣れてないのに……」
「なんとかなるって。心配しすぎ」
「でも真奈ちゃん、英語ちゃんと勉強出来てる?」

由香が教えたりもしているが、真奈はいまいち身が入っていない様子で心配だった。

本人が英語の習得を必要とせず練習に集中したいというなら通訳同伴で活動し続けること自体に問題はない。

しかし真奈は自由を好み全て自分でやりたいタイプ。それなのに勉強には身が入らないという矛盾を抱えていた。

指摘に対し、真奈はあからさまに不満そうな顔をする。

「やってるから彼氏が出来てるんじゃん。その言い方って失礼だよ」

「ごめんね。でも心配で……」

今の真奈は恋に浮かれる少女だ。
四歳年下の彼女は由香からすると、年齢抜きにしてもずっと幼く見えていた。

「ほら、細かい契約や支払い関係の書類とか、今は私が手続きしてるよね。それに交通機関にも不慣れなのに、彼が助けてくれるとしても本当に大丈夫なの?」

由香には真奈が恋愛に舵を一気に切っているようにしか見えない。

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