孤独なあなたに、夕食を。 〜食べられないCEOの胃袋を掴んだら本気の口説きが始まりました〜
そんな擦り減った心でアランに出来ることといえば、リアムに秋波を送る女を横から掻っ攫うことぐらいだ。

同じ大学に進学していたので、片っ端から奪うことにした。
リアムはあれで身が固く、女性からのアプローチに靡く素振りがない。

横から掠め取ることだけは容易く、せめてもの抵抗のつもりだったのだ。

母が誇りに思うほど、二人は顔が似ており、女性からは擦れた雰囲気が返って好まれた。
そしてなにより、リアムの類似品であるアランの唯一の武器ともいえる、特別なアイスグリーンの瞳が役に立った。

稀少性が高いものは、選ばれやすい。


そんな風にして女性との関わりだけは増えていって、そして大学在学中に辿り着いたのが、化粧品ブランドの設立だ。

小さなひらめきに本気になった。
センスなんてなくとも、分析対象が増えてゆけば彼女たちの望みがクリアになって、自分だけの何かが得られる気がしたのだ。

大学を中退し、決別同然でウィルソンの家を出た。
そうしてアランは一から出資者を募り、『ニュー・アロー』は自分の努力で築き上げた唯一の居場所となったのだ。

表向きは、”内なる美を解き放て”と銘打っているが、その裏には、”一矢報いたい”という感情が乗っている。

富裕層のビリオネア達からすれば吹けば飛ぶような会社かもしれないが、このブランドだけは大切に育てていくと決め、そうやって抗い続けることが、生き甲斐といっても過言じゃない。


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