孤独なあなたに、夕食を。 〜食べられないCEOの胃袋を掴んだら本気の口説きが始まりました〜
食事の用意が出来たら帰っていいと予め言ったはずが、食卓中央に飾られる紫陽花を挟んで彼女はメモを手にじっと見つめる。

――そんなんじゃ食べにくいだろ。

根が真面目な由香は、インナービューティー食を一日も早く導入させたいようだ。

「栄養があっても、美味しくないとこういうのは続きませんからね。お腹に優しいのと、お腹が喜ぶことは違うんです」

半分不貞腐れたような面持ちで、さぁ食べろと迫ってくる。
アランは吐息を零したものの、大人しく従った。

「分かったよ。君は占い師だから、顔を見れば分かるんだったな」

「そういう事でいいです。あ、そこの三つ葉、いま避けましたね?」

あさりの炊き込みご飯を慣れない箸で口に運ぶと目敏く声を掛けられる。

「飾りじゃないのか?」

「薬味ですよ!一緒に食べるとアクセントになって美味しいんです。といっても人によりますけど……苦いの嫌ですか?」

アランは無意識に避けていた鮮やかな緑を見つめた。

「あぁ……まぁ、そうかもしれない」

親子丼の上にも似たようなものが乗っていたが、あのとき一口食べたものの、独特な苦みに飾りだと勝手に思い込んでいた。

――なるほど。彼女はこういうことを知りたがっていたのか。

すかさずメモ帳に書き記す由香を見て、自ずと口許が緩む。

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