孤独なあなたに、夕食を。 〜食べられないCEOの胃袋を掴んだら本気の口説きが始まりました〜
「気持ちは分かったんだけど、私を雇ってるのは真奈ちゃんのご両親だから……とりあえず、こんな場所だし、ご両親交えて同棲のことは一度話し合うようにしよっか」

わざわざ自社の人間を引き抜いてサポート契約を結ぶぐらいには、真奈の両親は娘を心配していた。

恋愛をしたらいけないわけではないが、まだ渡米して七ヶ月。
いきなり真奈が全て一人で出来るとは思えない。

気疲れする感情を飲み込みつつ、二人に微笑みを向けたものの、彼女はどうも由香の反応に納得いかなかったらしい。

「はぁ……」

大きな溜息を零された。

「由香さんってさ、私と四つしか変わらないのに正直うちのママ以上に過保護でしんどいんだよね。むしろこんな場所じゃなかったら、今頃彼に質問責めしてたでしょ?」

眦を吊り上げて問われる。

真奈の発言に由香は頭痛を覚えたが、ここで反論すると火に油を注ぐことになるので唇を引結ぶ。
会場の隅で話しているものの、騒ぎになって注目されたくはない。

黙っていると真奈は一段と恋人に身体を密着させ告げた。

「私は一人で大丈夫。だから今月末で契約終了ってことで。お金のことはパパに話しとくから、もう帰っていいよ」

あまりに横暴な決断。

「そんな、今月末って急に……」

流石に聞き捨てならない。
しかし真奈はこともな気に言う。

「別にパパの会社だって辞めたわけじゃないんでしょ?日本に帰ったらいいじゃん。じゃあね」

確かに真奈の言う通り、籍は会社にある。

しかし由香なりに決意してきた。

真奈がスケートに集中出来るよう食事も生活の雑務も精一杯支えてきたつもりで、関係も悪くはなかったはずだ。

しかし由香は今、会場の隅に取り残されていた。

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