きみが窓を見なくなるまで
自分の席へ向かう途中、男子の声が一瞬止まった。

気のせいかと思って、そちらを見る。

高木くんと、目が合った。

彼は椅子の背へ腕を掛け、半分こちらへ向いていた。

私は足を止めそうになる。

先に何か言うべきか迷った、その間に。

高木くんの視線が、私の顔から少し横へ動いた。

耳のあたり。

それから、また戻ってくる。

「……おはよ」

「おはよう」

彼は前を向いた。

私は自分の席へ座る。

鞄を掛けるとき、結んだ髪が肩へ落ちてきた。

気づいたのだろうか。

気づいて、何も言わなかったのだろうか。
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