きみが窓を見なくなるまで
家へ帰っても、すぐには髪をほどかなかった。

部屋の鏡の前に立つ。

朝より少し崩れたポニーテール。

耳の横には、短い髪が出ている。

特別、何かが変わったようには見えない。

私の顔も。
制服も。
鏡の前で立ち止まってしまうところも。

それでも、朝より少し、この髪型が自分のものになった気がした。

いいと思う。

似合ってる。

同じ言葉を、何度も思い出す。

私はゴムに指を掛け、ゆっくり外した。

髪が肩へ落ちる。

指先に残った黒い輪を、机の上へ置いた。

箱には、戻さなかった。

明日も使うかもしれない。

そう思えることが、少しうれしかった。
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