きみが窓を見なくなるまで
昼休み、みなみが本を持ってきた。

薄い青色の表紙。

両手で大事そうに持っているのを見て、私は先に声をかけた。

「そんなに気にしなくていいよ」

「え?」

「本。普通に持ってて大丈夫」

みなみは自分の手元を見て笑った。

「なんか、妃菜の大事なもの借りてる気がして」

私は少し戸惑った。

大事。

確かに、好きな本だった。

でも、そう言われると、自分が渡したものが急に大きくなる。

「……読めた?」

「うん。昨日、途中までのつもりが最後まで」

私は背筋を少し伸ばした。

「どうだった?」

みなみが椅子を引く。

その答えを待つ間、私は箸を出すのを忘れていた。
< 115 / 385 >

この作品をシェア

pagetop