きみが窓を見なくなるまで
「私、あの喫茶店の人が気になった」

「店主の人?」

「うん。手紙もらったとき、どう思ったのかなって」

私は本へ目を落とした。

あの人の気持ちは、あまり書かれていなかった。

「困ったかな」

自分で言うと、少し胸が縮む。

みなみは首を傾けた。

「どうだろ。私なら、うれしいかも」

「うれしい?」

「来てくれてたんだ、って」

彼女は表紙の扉を指で軽く示した。

「知らない間に誰かが、自分の店を好きでいてくれたんでしょ」

私はその小さな扉を見た。

閉まっている側のことばかり、考えていた。

内側にいる人は。

待っていたかもしれないのに。
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