きみが窓を見なくなるまで
「でも、私だったら途中で声かけちゃう」

みなみが言った。

「何回も店の前に来てたら?」

「うん。何か用ですか、って」

「……それ、ちょっと怖い」

「あ、ほんとだ」

二人で笑った。

みなみは少し考え、言い直す。

「じゃあ、今度開いてる日に来てください、かな」

その誘い方は、みなみらしかった。

私なら。

窓から人影に気づいても、気づかなかったふりをするかもしれない。

話しかけていい理由が見つかるまで、動けない。

「貸してくれてありがと」

みなみが本を差し出す。

私は両手で受け取った。

「ううん。読んでくれて、ありがとう」

言ってから、その言葉が自然に出たことに気づいた。
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