きみが窓を見なくなるまで
返ってきた本を、鞄へしまう。

それで終わりにするのが、少し惜しかった。

私はファスナーへ掛けた指を止めた。

「……みなみは、普段どんなの読む?」

彼女が顔を上げる。

「小説?」

「うん」

「最近、あんまり読めてないんだけど。前は謎解きのやつ好きだった」

「推理小説?」

「そう。でも犯人、だいたい外す」

「だいたい?」

「最初に怪しい人を疑って、違うだろうなって別の人に変えると、最初の人だったりする」

その様子が想像できて、私は笑った。

みなみも笑いながら、机へ少し身を乗り出す。

今度は私から聞いた。

それだけのことなのに、会話の中で座る場所が、少し変わった気がした。
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