きみが窓を見なくなるまで
貸出手続きが落ち着いたころ、高木くんがカウンターへ来た。

「それ、返ってきたんだ」

机の隅に置いた文庫本を見ている。

私は頷いた。

「うん。今日」

「どうだったって?」

「喫茶店の人が、何を考えてたのか気になるって」

高木くんは本へ目を落とした。

「そっちか」

「うん。私、あんまり考えてなかった」

「俺も」

彼の指先が、カウンターの端へ軽く触れた。

「店の人、普通に待ってたかもしれないな」

私は昼休みのみなみの言葉を思い出した。

「……そうかもしれない」

高木くんが、私を見る。

「また変わった?」

私は少し笑って、頷いた。
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