きみが窓を見なくなるまで
「同じ本なのにね」

私が言うと、高木くんは椅子へ座った。

「読む人が違うからじゃない」

「うん。でも、私も同じなのに」

「同じ?」

「読む人」

彼は少し考えた。

私は本の表紙を撫でる。

ついこの前まで、読んだ感想は自分の中だけにあった。

誰かに話すと、あとから見え方が変わるなんて、あまり知らなかった。

「聞いたからじゃない?」

高木くんが言った。

「その友達の話」

私は頷いた。

「……うん」

彼はそれ以上、何も付け足さなかった。

私も黙ったまま、表紙の小さな扉を見た。

今度は、閉まっている感じがしなかった。
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