きみが窓を見なくなるまで
「高木?」

みなみが、少し驚いたように言う。

高木くんは本から手を離した。

「おう」

短い返事だった。

知らない人へ向ける声ではない。

みなみはカウンターの横にバッグを置き、窓際へ少し顔を向けた。

「ここにいたんだ。最近、放課後見ないと思った」

「部活ないから」

「足、まだ?」

「練習は、まだ」

「そっか。普通に歩いてるから、もう治ったのかと思ってた」

高木くんが右足を少し動かす。

「歩くのは平気」

私は二人の間を見た。

名字を呼んだあと、説明もなく会話が続いている。

同じクラスなのだから、当たり前だった。

それでも私は、初めて知ることのように聞いていた。
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