きみが窓を見なくなるまで
みなみがカウンターの前の椅子へ座った。

「ごめん、邪魔した。あと何するの?」

「貸出の冊数と、机の確認」

「手伝う?」

私は首を横に振った。

「大丈夫。すぐ終わるから」

「じゃ、ここで待ってる」

彼女は膝の上に手を置き、私の文庫本へ目を落とした。

「次、妃菜の好きな推理のやつも教えて」

「うん」

「難しすぎないのがいい」

「犯人、当てやすいほう?」

「いや、そこはちゃんと外したい」

私は笑った。

みなみはいつもどおりだった。

私に話しかけて。
私の返事を聞いて。
一緒に帰るために、待ってくれている。

そのことがうれしいのに、さっきから胸の奥が少し重かった。
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