きみが窓を見なくなるまで
駅へ向かう道で、みなみは週末の試合の話をした。

私は隣で聞いていた。

緊張すること。
先輩と組むこと。
勝ちたいけれど、まずちゃんと返したいこと。

真剣に話す彼女を、応援したいと思った。

「頑張ってね」

そう言うと、みなみが笑った。

「ありがとう。終わったら報告する」

私も笑った。

その約束は、うれしかった。

うれしいまま、胸の奥に別のものが残った。

高木くんが窓を見ていた理由を、わかった気がしてしまった。

私と話すために顔を向けてくれたあと。

また、窓のほうへ戻っていった理由も。

好きなのだろうか。

みなみのことが。

ポケットへ入れた指に、黒いゴムが触れた。

私はそれを、取り出さなかった。
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