きみが窓を見なくなるまで
高木くんは窓際へ行く前に、カウンターへ寄った。

「今日、何読んでる?」

私は手元の本を見せた。

薄い黄色の表紙。

「短いやつ。まだ最初だけど」

「面白そう?」

「今のところ、猫しか出てこない」

彼が表紙を見る。

「猫の話?」

「人の話だと思って借りた」

「間違えた?」

「……まだ、わからない」

高木くんが笑った。

つられて、私も口元が緩む。

そうしてから、少し遅れて胸が痛くなった。

普通に話せてしまう。

気になっていることを聞かなくても、こうして笑えてしまう。

彼は本を一冊選び、いつもの席へ向かった。
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