きみが窓を見なくなるまで
高木くんは、思っていたより長い指をしていた。

本を押さえるとき、親指だけが少し曲がる。

残りの指は、表紙に沿っている。

最初は、ただ紙の音につられて見ただけだった。

次に、手首の時計が目に入った。

袖口が少し下がっていて、文字盤が半分隠れている。

それから、横顔。

伏せられた目。
本を読むときには動かない口元。
額に掛かった髪。

教室では、こんなふうに長く見られない。

今も、見ていていいわけではないのだけれど。

高木くんがページをめくった。

私は、まだ顔を戻さなかった。
< 147 / 385 >

この作品をシェア

pagetop