きみが窓を見なくなるまで
本を落としたわけではなかった。

ただ、角が机へ当たった。

小さな音。

私は両手で支え直し、開いていたページを見つめた。

文字が、うまく読めない。

顔を上げたら、まだ見ているだろうか。

そう思うと、上げられなかった。

足元へ力を入れる。

椅子の脚が床に触れている。
机の端が腕に当たっている。

いつもと同じ場所なのに、自分だけが落ち着かなかった。

窓際で、紙の音がした。

今度は、顔を上げなかった。

私は本の同じ行を、何度も目で追った。
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