きみが窓を見なくなるまで
「その本」

彼が、私の手元を示した。

黄色い表紙。

「人、出てきた?」

私は一瞬、返事を忘れた。

それから、頷く。

「……四ページ目に」

「早かったな」

「うん。思ってたより」

高木くんの口元が、少し動いた。

私も、ようやく息を吐いた。

本の話。

いつもと同じ話なら、できる。

「猫は、もう出てこない?」

「ときどき出てくる」

「よかったじゃん」

私は小さく笑った。

その猫が好きだとは、言っていなかった。

でも、また出てきたとき、少し安心したことは確かだった。
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