きみが窓を見なくなるまで
「今の、よかったじゃん」

壁際から声がした。

高木くんだった。

私は振り返る。

彼は膝の横にボールを置き、こちらを見ていた。

みなみが先に返事をする。

「妃菜、だんだんできてきた」

高木くんは私へ視線を向けたまま、頷いた。

「最後、ちゃんと足動いてた」

胸のあたりが、急に忙しくなる。

私は腕を下ろした。

「……一回だけ」

「一回できたら、またできるだろ」

その言い方が、少しうれしかった。

私は頷き、みなみへ向き直る。

次にボールが来たときは、さっきより一歩早く動けた。
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