きみが窓を見なくなるまで
陸くんが、ボールを持って高木くんのところへ来た。

「ちょっと見て。さっきから短い」

高木くんは座ったまま、手を出す。

渡されたボールが、彼の両手へ収まった。

それまで何となく見ていた私は、そこで目を止めた。

持ち方が違った。

ボールをつかむというより、自然に置く場所が決まっている。

彼は手首を動かし、指先で軽く押し出す真似をした。

「最後、こっち。肘、引かないで」

陸くんが同じ動きをする。

「こう?」

「もうちょい上」

さっき私へ話していた声と同じなのに、言葉に迷いがなかった。

私は水筒の蓋を持ったまま、見ていた。
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