きみが窓を見なくなるまで
高木くんが近くの棚へ向かう前に、私は声をかけた。

「あの」

彼が振り返る。

聞こうとしていたことが、急に失礼に思えた。

でも、もう呼んでしまった。

「バスケ、見たことなくて」

高木くんは少し眉を上げた。

「試合?」

「うん。今日、みなみに聞いた。一年生のときから出てたって」

彼は本棚へ向けていた体を、こちらへ戻した。

「たまにだけど」

「……そうなんだ」

そこで話が終わりそうになる。

違う。
それを確認したかっただけではない。

私は机の下で、指を軽く曲げた。

「見てみたいなって、思った」

言ったあと、彼の顔を見るのが少し怖かった。
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