きみが窓を見なくなるまで
高木くんが窓際へ行ったあと、私は黄色い本を開いた。

昼間の体育館を思い出す。

彼がボールを持った手。
陸くんへ教えていた声。
コートを追う目。

あの中へ戻る日を、彼は待っている。

私は、その日を見たいと思った。

図書室で会える時間が減ることには、まだうまく考えが向かなかった。

窓の外で、テニスボールの音がする。

高木くんが顔を上げた。

私は彼の横顔を見た。

今度は、すぐには本へ戻れなかった。

本を読んでいる姿だけでは、足りなくなっていた。

ほかの顔も、知りたい。

その気持ちが、前よりはっきりしていた。
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