きみが窓を見なくなるまで
「山本、前から言ってたよな」

誰かが笑う。

「だって可愛いじゃん。あんまり話したことないけど」

直人くんの声は、隠すような大きさではなかった。

それが余計に、教室へ入りづらかった。

「顔だけじゃなくて、スタイルも——」

言葉の途中で、別の声が重なった。

「その話、本人いないとこですんの?」

高木くんだった。

私は顔を上げた。

教室の中は、ここからではよく見えない。

一拍、間が空く。

「いや、褒めてるだけだけど」

「顔見て言えば」

低くも、怒った声でもなかった。

でも、それまで続いていた笑い声は、一度止まった。
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