きみが窓を見なくなるまで
直人くんが自分の席へ戻ってから、私は黄色い本を閉じた。

カバーの端が、少しずれている。

直そうとして顔を下げると、横から声がした。

「それ、読み終わった?」

高木くんが立っていた。

私は本を持ったまま、頷く。

「うん」

「そっか」

彼の視線が、隣の空いている机へ落ちた。

さっき直人くんが手を置いていた場所。

私はその動きを、何となく目で追った。

「……猫、最後にも出てきたよ」

話すことが見つかって、少しほっとした。

高木くんがこちらへ目を戻す。

「ちゃんと?」

「うん。今度は、玄関から」

彼の口元がわずかに動いた。
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