きみが窓を見なくなるまで
「出世したな」

「入口が変わっただけだけど」

「住人に認められたんだろ」

私は笑った。

猫が最後に入ってきたとき、家の人は追い払わなかった。

高木くんの言ったことは、たぶん、間違っていない。

「そうかも」

返事をすると、彼は私の本へ目を落とした。

「今日、返す?」

「放課後に」

「当番?」

「うん」

彼は一度頷いた。

それから、何か言おうとするように私を見た。

でも、教室の入口で陸くんに呼ばれ、そちらへ顔を向けた。

「あとで」

私は小さく頷いた。

その言葉を、放課後まで覚えていた。
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