きみが窓を見なくなるまで
猫の話をしている間は、いつもどおりだった。

高木くんは、私が説明に迷うと待ってくれた。

登場人物の名前を忘れると、「窓閉めなかった人?」と確かめてくれた。

読んでいないのに、話の中にいる人がわかるようになっていく。

「俺も、それ借りようかな」

そう言われて、私は返却棚を見た。

「まだ、そこにある」

「じゃ、あとで」

高木くんも同じ棚を見た。

それから、少し間が空いた。

私は次の言葉を待った。

彼の指が、机の上で一度だけ曲がる。

「山本と、よく話す?」

本とは関係のない名前が出て、私はすぐには答えられなかった。
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