窓際の高木君
高木隼人。

同じクラスになって、半年と少し。

席が近かったことはない。
同じ班になったこともない。

プリントを後ろへ回したときに、「ありがと」と言われた。

今、思い出せる会話はそれくらいだった。

なのに、声は覚えている。

低すぎず、よく通る声。
人に何かを伝えるとき、最後までちゃんと届く話し方。

高木くんは、教室ではいつも誰かと一緒にいた。

自分から大きな声で場を盛り上げるわけではない。
でも、笑い声のするほうを見ると、大抵その中にいる。

そんな人が、放課後の図書室で一人、本を開いている。

それだけでも少し意外だった。

本より、窓を見ていることは。

もっと、意外だった。
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