きみが窓を見なくなるまで
「取れた」

高木くんの声がした。

私はゆっくり顔を戻した。

彼はゴムを指先に掛けていた。

黒い、小さな輪。

差し出されて、私は掌を上に向ける。

彼がそこへ落とした。

指は触れなかった。

それなのに、掌まで熱くなった気がした。

「……ありがとう」

「うん」

高木くんは、すぐには座らなかった。

私の肩へ落ちた髪を一度見て、それから目をそらす。

私は髪の内側へ指を入れ、軽く梳いた。

結んだ跡がついている。

きっと、変なふうに曲がっている。

今さら、そのことが気になった。
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