きみが窓を見なくなるまで
高木くんが来たのは、一つ目の話を読み返しているときだった。

扉の音に顔を上げる。

彼はいつものカウンターを見てから、少し奥にいる私に気づいた。

私は小さく会釈する。

彼も頷いた。

そのまま窓際へ向かうのかと思ったら、私の机の横で足を止めた。

「今日は、こっち?」

「うん。先生が使っていいって」

高木くんが向かいの椅子を見る。

「座っていい?」

私は頷いた。

机の上に出していた筆箱を、少し自分のほうへ寄せる。

彼は鞄を下ろし、黄色い表紙の本を取り出した。
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