きみが窓を見なくなるまで
彼がブレザーを羽織る。

袖へ腕を通し、襟を直す。

さっきまで私の肩にあったものが、いつもの場所へ戻っていく。

その動作を見ている自分に気づき、私は本へ視線を落とした。

「どのくらい寝てた?」

「二十分くらい」

私は顔を上げた。

「そんなに?」

「たぶん」

高木くんは机の上の時計を見た。

私は自分の本を持ち直す。

二十分。

彼は、その間もここにいた。

「ごめん」

口にすると、彼が少し首を傾けた。

「何が?」

私は返事に困った。

話さずに寝てしまったことか。

ブレザーを借りたことか。

どちらも、上手く説明できなかった。
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