きみが窓を見なくなるまで
私は信号を見た。

まだ、赤かった。

何か言いたいと思った。

大丈夫だと。
きっと前と同じにできると。

でも、私にはわからない。

ボールを持った彼が、どんな気持ちでコートへ戻るのか。

どれだけ練習してきたのかも、まだ知らない。

「……同じじゃなくても」

口にしてから、言葉を探した。

高木くんがこちらを見る。

「見てみたいとは、思う」

私は鞄を持つ指に力を入れた。

「前の高木くん、知らないから」

その言い方でよかったのか、すぐ不安になった。

でも、彼は笑わなかった。
< 236 / 385 >

この作品をシェア

pagetop